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北海道のマイナーな町たち【Minor towns in Hokkaido】

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  今日は北海道の中でもマイナーな地域の話を書こうと思う。とにかく広い北海道ですから、農業研究の世界でもまだまだ情報が少ない地域があると私は最近思っています。小さな町でも、農業を中心として持続的な暮らしをするヒントがある地域はたくさんあって、そのような町の情報を発信したり、学術的な研究を進めたりしたい、と思う今日この頃です。 夏はそんな場所をいくつか訪問してきました。一箇所目は滝上町。酪農家を二軒訪問し、土を採ったり、牧草の撮影をしたりしてきました。必ずしも土壌に恵まれているとは言い難いこの場所で、どのような酪農の形が持続的だと言えるのでしょうか。テーマは奥深い。 二箇所目は黒松内町。ここでは、肉牛を自然に近い形で放牧飼育されている方々にお会いすることができました。化学肥料や農薬だけではなく、種子なども外から持ち込まないことを目指す彼らと、農場の将来ビジョンについて色々と語り合うことができました。耕作放棄地となっている場所を買い取り、そこに牛を放つことで、これまで利用されていなかった土地からタンパク質(肉)を作り出すことができるようになりつつあります。これも小さな町の持続性の鍵となる考え方になってきそうです。 小さな町に人々が分散して住むことで、人々の暮らしは自然と調和しやすくなる、と私は最近考えていて、こういったことはまだまだ語り足りないのですが、少しずつ書き残していきたい。 I would like to talk about minor and small villages in Hokkaido. Hokkaido is a large prefecture, thus I think there are many minor places where more agricultural science is needed. In the small towns, there are many hints of sustainable livings and I would love to tell others about their idea with some scientific backups.  I visited a few of these minor towns in Hokkaido over summer. The first one

北海道と牛と【Hokkaido and dairy cows】

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いつもよりも雨が少なくとても暑い7月の北海道ですが、研究室では忙しくあちこちを調査しながら頑張っています。やはり、今も本州や海外の訪問はなかなか厳しいですが、道内では酪農産業を中心にいろいろな研究をすすめることができています。 この間は グラスファーミングスクール という酪農家や酪農関係者が集まるイベントに呼ばれて行ってきました。農家さんと直接対話ができる場所として毎年楽しみにしていますが、今年もいろいろと制限はありましたが農業と環境についても理解できる実りある会になったと思います。 農業と環境、そして地球科学は私たちの永遠の研究テーマですが、日に日にこのテーマの重要性は高まっているような気がします。ゼロエミッション、ゼロ環境負荷、など、聞こえの良い言葉としてよく耳にするようになりましたが、本質的に、つまり「数値」として、何年くらいで何が達成できるのか? 誰が、どのような役割を担えばいいのか? 途中途中でどこをゴールにするべきか、どういう評価をしたらいいのか、という議論はもっとする必要があります。 そして、農業の場合は、個々の農家、そして市町村レベルでも考え方や持っているリソースが大きく違います。そのため、世界の、国としての目標を細かいレベルに落とし込める人材が必要だと感じています。私たちはそういう役割を担おうと努力しています。 一方で、国レベルの意思決定や政策を理解しつつ、個々の農家とも対話できる人材は、世界規模で不足していると思います。私たちの分野、地球科学、土壌、環境農学といった分野で、若い人たちが従来の考え方にとらわれることなく、対話力や交渉力を磨き、少しずつ世の中を良くしてもらえないものだろうかと強く願っています。 This July had relatively fewer rains and has been very hot so far. Despite the conditions, the team has been working hard, researching various places within Hokkaido. We are mainly studying dairy industries within this island, while travelling to other islands and overseas i

生態学会での受賞など【Awards during the Annual Meeting of the Ecological Society of Japan】

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毎年楽しみにしている生態学会ですが、今年はオンラインで行われました。 学会では学生や研究所の先生方がわいわいと議論をしたり情報交換したりするのが醍醐味なのですが、オンラインでもいろいろなアイデアが駆使されていて、学生でもいろいろなアクティビティを通じて楽しめたのではないかなと思いました。 そして、 英語口頭発表聴衆特別賞やポスター賞 、 エコカップ(川柳大会)優秀賞 などなどを学生やポスドクさんがいただくことができました。 めでたいです! The Annual Meeting of the Ecological Society of Japan was held online.  Normally, we enjoy the conferences like this by talking with random scientists and exchange many interesting information, and this online conference was very well organized so we could still do these things even when it was online! I thought even students and newbies could still enjoy this conference a lot. Also, our team won some awards such as English Presentation Audience Awards, Poster Award and “ECOCUP” (Senryu) Award…  Congratulations!! 発表演題: ~英語口頭発表聴衆特別賞(English Presentation Audience Awards)~ 「Can soil microbes increase their diversity despite nutrient loss? —study on effects of cultivation in sub-Saharan Africa」 Takamitsu OHIGASHI, Yoshitaka UCHIDA 「Impact of mixed cropping managements on

南アとザンビアと、、、。【With South Africa and Zambia】

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北海道はまだまだ寒いし、なんなら大雪も降っていますが、大学はせわしなく来年度の準備をする時期となってきました。 来年度、楽しみな一つのプロジェクトを開始することができました。「持続可能な水、エネルギー、生活、生態系保全のためのカリバ湖集水環境の評価」というプロジェクトで、JSTのサポートを受け、南アフリカとザンビアとコラボレーションしながら進めることになります。 非力ではありますが、リーダーは内田です。 この先数年、世界がどうなるのか、さらにサブサハラアフリカ諸国がどのように変化するのかが読めませんので、なんとか力強いリーダーシップを発揮しつつも、無理のないようにいろいろな方々のアシストをいただきながら進めたいと考えております。 ざっくりとしたプランでは、2021年は現地渡航は厳しいと予想し、「モデル」的手法を用いた研究をこのプロジェクト内で進めようと思っています。モデルというのは、いろいろな現象を数式で捉えることで、将来予測をしたり、これまでの現象を説明しようとしたりするアプローチのことです。この辺はまた詳しく説明できればと思います。 数日前に、日本の夕方、アフリカの朝にテレビ会議を行いました。さっそく時差を一時間間違えて、アフリカの皆様を待たせるという凡ミスをしましたが、非常に意義のある打ち合わせだったと思います。 このプロジェクトには何名もの学生や、他の研究機関の先生方が入っています。それぞれどんな役割があるのか、コラボレーションすることでどんなことが分かってきそうなのか、、、。いろいろと書き残していきたい。 It is still freezing cold here in Hokkaido, with heavy snow, but University staffs are busy preparing for the next fiscal year, starting in April.  We are looking forward to conducting a new project in the next fiscal year, entitled "Assessing the Lake Kariba Catchment Environments for Sustainable W ater, E nergy, L ivelihoo

年末へ向けて【Towards the end of year】

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あっという間に12月になってしまいました。いろいろな仕事に忙殺されており、やっとブログでも書いてやろうか、と思った今日です。 海外での研究は本当に遅れています。心配になりますが、どうしようもないですよね。しっかりと国内で研究をしたり、なるべくスムーズに海外の研究者たちと連絡を取れるようにしたり、いろいろとがんばっているところです。 国内も大変厳しい状況ですが、他の大学の先生とのコラボレーションなどが始まったりと、面白いことはたくさん起きています。同じ国内でも場所が違うと農業の形態も大きく違って面白いと思うと同時に、いろいろと勉強しなければいけないことが多いなぁと考えさせられます。私は土を専門としていますが、農家さんは土を基本としつつも、利益や収入を考え動きます。そんな中でどうやって土の情報を提供していくのか、ということが大事だな、と最近思っています。 今年を振り返るのはまだちょっと早いのかもしれませんが、学生たちは2020年本当によくがんばってくれて、これまでに無いペースでいろいろな研究を進め、論文を書くことができました。チームに感謝する忘年会、、、はできませんが、機会を見て褒めてやらなければ、と思っています。 I have been a bit busy but finally managed to have time to write this article.  Our oversea projects have now significantly delayed and am worrying about them a lot. However, I know that there are not many things I can do. I am doing a lot of research within Japan now, but at the same time, I am trying to communicate with oversea researchers as much as I can to keep the collaborations going.  Within Japan, I managed to start some new collaborations. It is fascinating to collaborate

後期のはじまり【Second semester starting】

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 札幌はもうすっかり寒くなり、紅葉がきれいな季節です。軽く「遊びに来てください」などと言えないのが悲しい今日この頃です。 後期が始まって、対面での授業も許されるようになってきました。ただ、教員目線だと、許されたからと言ってやるのか?と思ってしまいます。常にリスクを考え、何かあったときにどういう風に対応するのか、どうするのがベストなのか、、、と悩んでいます。 ただ、これまでオンラインでしか顔が見られていない学生たちが協力しあって実験をしていたり、楽しく会話をしていたりするのを見ることができるのはうれしいです。 冬が厳しいこの場所で、またウイルスが猛威を振るわないかどうか、心配です。なんとか楽しい大学生活を送ってほしいです。 Sapporo is getting colder and colder, and leaves are turning yellow and red everywhere. It is so sad that I cannot freely say "come and visit" anymore.  Our second semester started and some lectures are now conducted physically. However, we all have to think about the risks and how to minimize them. It is still certain what are the bests for my students.  By saying that, it is so good to see students are doing experiments together and just chatting together on campus.  Winter is harsh here and am very worried about the virus activity over the winter. I hope the students can have happy campus life for upcoming years.

道北へ【To Northern Hokkaido】

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道北へ行ってきました。最近ずっと行けていなかったので、久々に顔見知りの農家さんを巡れて良かった。 しかし私たちは単にお友達に会いに来たわけではなく、研究をしに来たわけです。 一生懸命、糞や土、堆肥、草、そして牛舎の壁からサンプルを取りました。これらからDNAを抽出して、微生物の多様性を見ていく予定です。 ゲリラ豪雨のような雨に降られたり、長時間の運転で疲れたりと、まあまあ大変でしたが、晴れ間の美しい空と、よく人に慣れた牛に癒された旅でした。 協力していただいた農家さんにフィードバックできるよう、実験をがんばります。 We went to the Northern part of Hokkaido. It was very nice to see some familiar farmers' faces here.  However, we were here not only to catch up with friends but came here to do some research.  We sampled cow dung, soil, grass, compost and dust on the wall (!). We are hoping to extract DNA out of them to look at microbial diversities.  There were some heavy rain moments and it was a long drive indeed. However, it was so nice seeing some beautiful blue sky and friendly cows. We are hoping to give them good feedback after working hard in the laboratory.